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2006年6月23日

「鉄道よもやま話」を更新しました
「鉄道よもやま話」に「飛び込み自殺は運転事故なのか」を追加しました。少し重いテーマですがどうぞご覧ください。


2006年6月23日

「鉄道よもやま話」を更新しました
「鉄道よもやま話」に「飛び込み自殺は運転事故なのか」を追加しました。少し重いテーマですがどうぞご覧ください。

  • 2006.06.23 Friday
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飛び込み自殺は運転事故なのか

規則の趣旨は鉄道会社への指導のため

 2006(平成18)年6月6日付けの本欄、「合理化と運転事故との関連性を探る」中、鉄道事故等報告規則(昭和六十二年二月二十日運輸省令第八号)または軌道事故等報告規則(昭和六十二年三月二十七日運輸省建設省告示第一号、「合理化と運転事故との関連性を探る」初掲時には記載しておりませんでした。おわびして訂正いたします)に基づいて報告される運転事故に対して疑問を呈した。それは、運転事故とは鉄道会社の過失の度合いに関係ないにもかかわらず、一部の鉄道会社は飛び込み自殺を運転事故として扱っていないという点だ。
 運転事故として分類されている踏切障害事故のなかには自殺ではないものの、端から見れば「自殺行為」としか思えないような事故もしっかりと報告されている。だが、なぜ飛び込み自殺だけが運転事故として計上されていないのかについて、筆者は国土交通省鉄道局の担当者に質問を投げかけてみた。今回の「鉄道よもやま話」はその結果を報告したい。

 結論から言うと、国土交通省はすべての飛び込み自殺を運転事故とは見なしていない。同省が運転事故の報告を義務付けているのは、鉄道会社に対し、事故の再発防止について適切な指導を行うためだ。明らかに鉄道会社に落ち度のない飛び込み自殺については免除しているのだという。
 もう一つ理由がある。飛び込み自殺の件数はあまりにも多い。仮にその全数を報告しなければならないとなると、国土交通省自身も多大な業務に追われることとなる。本来の業務である鉄道会社への指導が疎かになる公算が高いため、飛び込み自殺は除外しているそうだ。
 厚生労働省によれば、2003(平成15)年に日本で自ら命を絶たれた方々の総数は3万2109人だった。内訳は男性が2万3396人、女性が8713人だ。この数値は日本人だけであり、日本国内に在住する外国人の自殺者も含むと3万4427人(男性2万4963人、女性9464人、警察庁調べ)となる。この年、亡くなった日本人の数は101万4951人。したがって、死亡者数のうち、3.2%が自殺者だ。
 さて、厚生労働省は手段別自殺死亡数割合も公表している。「移動中の物体の前への飛び込みまたは横臥(筆者注、おうが、身体を横たえること)による故意の自傷および自殺」と定義される飛び込みによる自殺者は男性が2.1%、女性が3.6%。筆者の計算では男性491人、女性313人の合わせて804人となる。
 この統計には「飛び込」んだ交通機関の内訳までは記されていない。だが、大多数は鉄道だろう。仮に全員が鉄道への飛び込み自殺だとすると、国土交通省が年度、厚生労働省が年という集計期間の差異はあるものの、運転事故による2003年度の死者数は328人から1132人へと跳ね上がる。

「国民の皆様のご意見」で国土交通省も変わる

 飛び込み自殺が「あまりに多い」とはいうものの、冒頭に記した踏切障害事故との整合性は取れていない。その点を挙げ、筆者は反論を試みようとした。だが、その言葉を予想していたかのように国土交通省の担当者はこう続ける。
「確かに飛び込み自殺を運転事故として扱っていない点については異論もあろうかと思います。ましてや、今国会では自殺対策基本法(年内に施行の予定)も成立しました。国土交通省としても鉄道での自殺を防ぐ手だてを考えていかなくてはなりません。今後は国民の皆様のご意見もうかがい、鉄道会社に報告を義務付ける必要もあるのではないかと考えております。」
 模範解答とはこういう答えを指すのだろう。だが、多分に国土交通省の本音も混じっているようだ。
 一時期、ある鉄道会社のある路線で飛び込み自殺が多発。そのつど輸送障害が発生し、多くの利用客が迷惑を被った。世間の厳しい目は必然的に鉄道会社、そしてその鉄道会社を監督する国土交通省にも向く。ホームに柵を設置するなど、容易に自殺できない環境を整備すべきだという具合にだ。
 国土交通省は、輸送障害については最小限に抑えるようにと鉄道会社に指導していたが、飛び込み自殺の防止までは強く言うことができなかった。長年の慣例で飛び込み自殺を運転事故として扱っていなかったからだ。しかし、本心では指導すべきだと考えていたのかもしれない。あとは世論の後押しだけだと主張しているかのようにも受け取ることができる。
 「国民の皆様のご意見」で国土交通省のあり方が変わるというのは事実だ。同省はパブリックコメントと称し、規制の制定や改正、廃止に関する意見を広く求めている。鉄道の安全対策に関して言えば、「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等(鉄道・海運関係)に関するパブリックコメント」(http://www.mlit.go.jp/pubcom/06/pubcomt44_.html)をただいま募集中。締切は2006年6月24日(土)に迫っている。
 筆者は国土交通省の改正案については改善の余地があると考え、パブリックコメントを提出するつもりだ。その内容については追って取り上げることとしたい。

2006年6月21日

「Rail Magazine」2006年8月号発売のお知らせ
6月21日(水)、ネコ・パブリッシングから月刊「Rail Magazine」2006年8月号が発売となりました。梅原 淳も一部の記事を執筆しておりますので、どうぞご覧ください。
  • 2006.06.21 Wednesday
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2006年6月21日

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2006年6月21日発売

月刊「Rail Magazine」2006年8月号(ネコ・パブリッシング)
 梅原 淳は「2007年夏デビューの東海道・山陽新幹線最速車輌N700系に乗る!」の執筆を担当しております。

2006年6月20日

『鉄道・車両の謎と不思議』増刷のお知らせ
おかげさまで、『鉄道・車両の謎と不思議』(東京堂出版)が増刷(第6版)となりました。
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2006年6月17日

「鉄道よもやま話」を更新しました
「鉄道よもやま話」に「村上ファンドは阪神の何に魅せられたのか」を追加しました。

2006年6月17日

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