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平成16年度 鉄道統計年報


国土交通省鉄道局監修、『平成16年度 鉄道統計年報』、政府資料等普及調査会、2006年3月。定価:7350円。

 7月中の発売予定が9月に、9月の予定が10月上旬、さらに10月下旬と、発売が延び延びとなっていた『平成16年度 鉄道統計年報』。何とか10月中に発売となり、手元に送られてきた。
 今年度版の最大の特徴はCD-ROM付きとなったことだ。本文中のデータがすべてExcel形式のファイルに収められているので、膨大な鉄道のデータ集計にとても役立つ。全国に何人いるのかはわからないが、筆者のような『鉄道統計年報』の「愛読者」にはとてもうれしい。
 昨年までの版とは異なり、項目欄の一部が薄いグレー色の地となり、やや見やすくなった。本書で最もページを割いている「3.財務」は88ページから256ページまで全国のすべての鉄道事業者と軌道経営者の損益計算書と貸借対照表が掲載され、例年この欄が最も見づらく目が痛くなったものだ。しかし、体裁の変更で「まあ許せる」範囲まで改善された。購入者の場合、見づらいのならばCD-ROMを利用するという選択肢もあるが、図書館等で書物だけを参照する人も多いことだろう。こうした改良は来年度以降もぜひ続けてほしい。
 今年度版の発売が延期に次ぐ延期となったのは収録されたデータに誤りがあり、監修者である国土交通省鉄道局が集計をやり直したからだという。筆者は昨年度版のデータの疑問点や誤りを見つけるたびに国土交通省業務課に問い合わせていたので、こうした個所をすべて修正したのだと思っていた。だが、早速眺めてみると相変わらず妙なデータは残ったまま。これは少々残念に思う。
 妙なデータがどこなのかをここで挙げてもよいのだが、実はこれらを近々中央書院から刊行予定の書籍で取り上げているので、もう少々お待ちいただきたい。宣伝となって恐縮だが、いわゆる都市伝説や怪奇現象を一切取り上げなくても、鉄道用語について考えるだけで奇妙な話がたくさんあるものだ。刊行された暁にはぜひ一度ご覧いただければ幸いである。
 話を元に戻そう。昨年度版の書評でも紹介したが、本書で最も残酷なデータが掲載されているのは「(24)JR旅客会社運輸成績表(延日キロ、人キロ、平均数」の旅客平均通過数量(人/キロ)、つまり旅客輸送密度だ。JR九州の九州新幹線を見ると8157人とある。あと158人少なければ8000人未満となり、世が世なら地方交通線と見なされてしまう。
 いっぽうでJR東日本の南武線は13万3284人とJR旅客会社各路線のなかでも上位を占めている。にもかかわらず、わずか6両編成の列車が大都市の路線としては比較的長い運転間隔でやって来るため、混雑は終日激しい。最大15両編成の列車が多数行き交うJR東日本高崎線の数値は11万4475人だから、南武線は高崎線をも上回っている。しかし、両線を乗り比べたならば100人が100人とも高崎線の旅客輸送密度のほうが多いと感じることだろう。それほど南武線の状況がひどいということがこの統計からもわかる。
 鉄道についての調査を行うのなら基礎資料として本書は欠かせない。購入はともかくとしてもしも図書館等で所蔵しているのなら、ぜひ一度目を通すことを勧める。

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